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Nadine ユーザーインタビュー

鈴木正人


LITTLE CREATURESのベーシストとしてデビューして以来、30年に渡り第一線で活躍する、ベーシスト、プロデューサーの鈴木正人氏は、Ear Trumpet Labs / Nadineユーザーです。Wooden Triangle (富樫春生pf 鈴木正人b 林立夫ds)のライブ現場にて、Nadineの魅力とライブでのマイクのコントロールについて伺いました。



──どのようにNadineを使うようになりましたか?

レコーディング・エンジニアの方から良いコントラバス用マイクがあるよ、と話をもらったのが最初ですね。SOIL&"PIMP"SESSIONSのコントラバス・プレーヤー、秋田(ゴールドマン)くんも使っていて、とても良いという評判を聞いてたので自分でも試してみました。よく知るライブハウスで実際に使ってみてすぐにこれは良いという感触がありましたし、そこの音響からも既にNadineを持ってくるコントラバス・プレーヤーはいて、とてもよい印象を得ているいうことでした。





──これまでコントラバスにマイクは使っていましたか?

コントラバスにマイクを付けるかどうかは音楽の種類によります。ジャズ系だと音響側からクリップ式の小型のマイクを付けてもらうこともありました。自分でもマイクを付けたいとは思っていたけど、小型のクリップマイクは無指向性ですぐハウるし、カブリもすごくある。それでは持っている意味もないなと敬遠していて、わりとやっている人も多いフィッシュマンとリアリストのピエゾの組み合わせをブレンドして使っていました。ステージでのモニターは、ピエゾだけでやっている限りハウることはないのでベースアンプで鳴らして、転がしには返していませんでしたね。大体その辺りのセットアップで良さそうなんですけど、やっぱりピエゾはピエゾなので普段家で弾いている感じとは全然違います。自分でもコンデンサーマイクを付けるようになったのは、このNadineからです。指向性も強い感じで、これなら使えると思いました。PAがいるような現場では、ピエゾをベースアンプでモニターして、マイクを別回線で送った方がよい印象がありますけど、今日のようなジャズの現場では、足元でピックアップとブレンドしてアンプから鳴らしても問題ないですね。





──ピックアップとNadineをブレンドして使うにあたってのコツはありますか?

ピックアップとマイクのブレンド量は、最初にマイクでハウるレベルさえ把握していればコントロールできます。バラードの時とかドラムがブラシに行くと全体の音量も下がるので、その際にピエゾのレベルを減らして相対的にマイクの分量を増やします。それこそアルコを弾くときというのは静かな時ですから、マイクがメインになっても問題ないですし、むしろNadineからの生の音が聴けるというのは抜群に良い。先日も、森山良子さんとかが出演しているフォーク・ミュージックのイベントが武道館であって、クラシックの“乾杯の歌”をNadineだけにしたアルコで歌とピアノと演ったんですが、とてもよい感じでしたよ。

ドラムレスのピアノとのデュオや、そこにボーカルが入る様な編成では100% Nadineでも問題ないですが、確かにドラムが入っているときに隣でバンバン叩かれると、さすがにハウリはなくてもカブリがNadineに入ってくるので“少し下げてもらえますか”と、音響側から来ることはあります。ただそこでNadineのマイクを下げて、少しだけブレンドされている状態にしたとしてもそのニュアンスはしっかり残ります。もっとギャーっと音を出すようなことをやる際には、そもそもピックアップだけで良いですね(笑)

今、試しているのがNadineのマイクヘッドの位置です。カタログにあるようなコマ寄りのところにセットにしていると、コントラバスらしいハコ鳴り感が得られますが、ギリギリまでテールピースに寄せてセッティングすると、より生で聴いているような自然なサウンドが得られます。まだちゃんと比較はしていないですが、このセッティングだとカブリ、ハウリングの耐性もより強くなるような印象があります。





──他に気を付けているポイントはありますか?

位相を合わせることも大事です。ピエゾとマイクを合わせて3つコントラバスに付いていると、逆相になってしまい易い。僕は、48Vファンタム機能がついた古いJOMEEKとアコースティック・ギター用のプリアンプを使ってブレンドしていますが、新たに用意するなら位相反転の機能が付いているものを選んだ方がよいですね。このあたりは少しプロオーディオに疎い人だと難しいところもあるかもしれません。





Nadineは、ライブレコーディング用のマイクとしての存在も大きい。今までライブレコーディングの音で、自分の音が良いと思ったことは一度もない。どうしてもライン臭くなる。放送用のライブレコーディングは時々あるのでこれはありがたいですね。スタジオレコーディングでNadine使うのはこれからですが、音が揺れないコントラバスが録れるというのも良さそうです。今日のWooden Triangle以外では、菊地成孔さんのペペ・トルメント・アスカラールの現場も全編コントラバスなので、Nadineは使っていきますよ。


鈴木正人: http://tone.jp/musicians/masato-suzuki

取材協力/桜木町NIGHBOR: http://neighbor-live.jp/