LEARN - Soundelux USA U195


User Interview - 古川貴浩





作編曲、サウンドプロデュース、ベースプレーヤーの古川貴浩氏はSoundelux USA U195のユーザーです。U195マイクロフォンをどのように日々使っているのかお話を伺いました。


── どのようなお仕事されていますか?

ベースプレーヤーとして呼ばれる仕事もありますが、ここ10年くらいは制作の仕事がメインになっています。ギター、ベースを弾くような楽曲となるPOPS、ROCKの制作が中心で、いわゆるEDMみたいなものもやりますが分量としては多くないですね。打ち込み系もやりますけどその場合でもどちらかと言うとR&B、Soulの方面です。アーティスト、声優さんものの編曲が多く、それ以外にも劇伴やゲームアプリの作編曲担当なども行っています。レコーディングスタジオでプレイヤーを呼んで録音する案件だけじゃなく、このスタジオでセルフRecのみで自己完結することも多いですね。


── こちらのスタジオについて教えていただけますか?

“サカサスタジオ”という名前で、楽曲制作から仮歌、ギター、ベースのアンプ録音まで行っているプライベートスタジオです。最終的なミックスはここで行わず外部エンジニアさんに頼んでいます。最近、Mac Proを新調したのでサンダーボルトでカスケードした複数のUniversal Audio ApolloをオーディオインターフェイスにしてPro Toolsで打ち込みから録音までをここで行っています。マイクプリは、Neve系のAurora Audio GTQ2を主に歌とベースに、そしてアンブレラカンパニーのモディファイが入ったChandler LTD TG2をギター録音用として使っています。最初はAurora Audio GTQ2だけで全部録っていましたけど、ギター録音にはChandler LTD TG2を試したら良かったので買い足しましたね。歌とベースの用のコンプにWes Audioの1176タイプのコンプ、Beta76を入れています。これには、サイドチェーン機能があってベース録音の時に低音に引っかからないようにできる。ここはオリジナルの1176よりも長けていて便利です。ベース用にManleyのDI、Radialのリアンプボックスなども使っていますね。エレキギター録る時にはこの部屋でアンプを鳴らしてリアルタイムで弾いています。昔よりリアンプすることは減りました。


── ギター・ベースのアンプ録音にはどの様なものを使っていますか?

ベース録音のキャビネットにMarkbassを使っています。ヘッドはフルチューブのMesa/Boogie Strategyを使っています。楽器本体はオールド指向ですけど、ここ最近はアンプはオールド指向じゃないんですよね。自分が作っている曲がわりと楽器本数が多いものをやっているので、モダンなアンプの方が音が前に出てきてくれたり重心の上げ下げなどコントロールしやすいんです。

ギターアンプは、マーシャル、フェンダー、VOXとかベタなものを揃えて使い分けています。モダンなハイゲインアンプとかのサウンドは欲しいときは、アンプシミュレータを試したりすることもあります。アンプシミュレータがオケに収まりがよい時があるのも確かですけど、自分はプレーヤーでもありますから、アンプを鳴らすことが自然なことだし、そこに拘りもあるので基本マイクで録っています。


──マイク遍歴を教えていただけますか?

最初のマイクは、定番のSHURE SM57。これは制作を始める前に何かとマイクがあると便利らしいという意味で買いました。良し悪しは別にしてSHURE SM57単体はそれほど録音に使っていないですね。最初は使っていましたけど、どうにも低音が録れない。直接音過ぎるというか。オン過ぎるというか。本格的に取り組むようになってからギターアンプを2本のマイクを使って録るという手法を知りまして、もっと低音が録れるマイクがあるらしいとSENNHEISER MD421買って、暫くSM57と2本で録っていましたね。その後は、TELEFUNKEN M82というダイナミックマイクの噂を聞いて買ってみたり、スタジオでエンジニアさんと試している中でよいなと思ったマイクを買い足したりしましたね。SENNHEISER E906は、単品の音はあまり好きじゃないんですけど、キャビネットのコーンの中心に使って他のマイクと組み合わせると好きな感じになるんです。キャビネットの中心と端に分けての組み合わせは、持っているマイクでいろいろ試行錯誤しました。


──ベースアンプの録音は、どうしていましたか?

ギターアンプ同様に2本立てしたり色々試してELECTRO-VOICE RE20に落ち着いていました。自分のイメージするべースらしい音が録れる。ベーシストとしてレコーディングに行くとエンジニアさんが結構ELECTRO-VOICE RE20とコンデンサーマイクのNEUMANN U47 FETでベースアンプを録音しているんですよ。ELECTRO-VOICE RE20単体でもべースらしくて十分好きな音なんですけど、オケの中ではベストと思えない。もっとベターがあると感じる。おそらくそこがNEUMANN U47 FETがカバーしてくれているところなんでしょうね。NEUMANN U87Aiをアンプの端側に同じ様に立ててやってみても、上手く行かなかったんですよ。どうしても歪んでしまう。僕のアンプの音量が大きすぎるのかわかりませんけど、やっぱり普通のコンデンサーは繊細なのかな、と思って諦めていたんですよ。NEUMANN U47 FETがあればと思いましたけど、なかなか個人のスタジオですぐ買えるようなグレードのマイクではないので現実的には思えなかったんですよね。


──SOUNDELUX USA U195は、どの様に使っていますか?

SOUNDELUX 自体は、以前からエンジニアさん達からの話で興味はあったんですよ。SOUNDELUX USA U195を買ってみようと思うんだけどって、エンジニアさん達に聞いて回ったら、みんな知っているんですよね。U195は使ったことがある。大体全員ある。ボーカル録音用のマイクに使っている人から、ドラムの近接マイクに使う人まで。ベースアンプ録音の際にNEUMANN U47 FETがスタジオにない場合には、U195のFATモード を代替で使っているいうエンジニアさんもいたので、アンプをコンデンサーマイクで録ることを捨てきれなかった僕にちょうどよいと思ったんです。

最初に試した時も、低音が普通に録れてこいつはすげえと思いましたね。僕は、録るときに結構アンプのゲインを上げる方ですけど、U195は音圧にも強い。もうその強さにもう惚れ惚れしました(笑)。これならNEUMANN U47 FETの代わりにもなってくれる。コスト的にも!ベースらしい低音から芯の部分までしっかり録れてもうベースアンプにはこれ1本だけで今は十分です。FATモードでも、NORMモードでもどちらもよいですね。オケの中でのベースは重心次第というところもあって、FATモードにしていることは多いけど、常に良いとは限らない。曲に合わせて重心のコントロールが切り替えできることがすばらしい。ベースアンプにすごくよかったですね。


──ギターアンプにも使っていますか?

ギターアンプには、とりあえずキャビネットの中心から試しました。中心には、ダイナミックマイクの方がイメージに近いけど印象は良かった。ギターのサウンドをよりエッジーに!エッジーに!ってみんなで言っているトレンドがどうかな?と思っていたので、この厚みがあって録れる感じもいいなと思いましたね。中心をSENNHEISER E906、端側をSOUNDELUX USA U195にしてミックスしたものがよかった。自分にとってはコンデンサーマイクでアンプを録れるようになったこと自体が新鮮で幅もひろがりました。音圧に耐えられるというのは良いですね。


──バリューも大きなポイントになったようですね。

15万円くらいのマイクって難しいですよね。ミドルクラスの決定版ってなかなか無くて、だったらもうちょっと頑張ってグレード高いの買った方がイイじゃない?みたいなこともしばしばです。レコーディング機材は流石に重要なもの、必要なものは高価でも買いますけど、作編曲諸々する側としては、色々買わなければいけないものもたくさんあるんです。楽器も音源もあればあるだけ困らないし。マイクばかりに予算を割けないのが現実です。そういう意味では手も伸ばしやすくて即戦力として使えるところが良かったですね。いわゆる高級マイクに比べたら価格的にも、耐圧的にも、ある程度乱暴に扱えるし(笑)。U195は、歌からアンプまでいろんな楽器を録りたい人にとっては便利で頃合の良いマイクだと思いますね。



Interviewee

古川貴浩(フルカワ タカヒロ)
ベース 作詞 作曲 編曲 サウンドプロデューサー
長野県上田市出身 ソニーミュージックパブリッシング所属

14歳よりエレクトリックベースを始め、19歳で音楽活動の為上京後、ベーシストとして活動する。2005年から作曲、編曲にも本格的に取り組みこれまでに戸松遥、スフィア、嵐、乃木坂46、Aimer、YUKI、栗山千明、水樹奈々、flumpool、関ジャニ∞、タッキー&翼、やなぎなぎ、9nine、分島花音、(敬称略)など様々なアーティストの作曲、編曲、ベースRecを担当し、テレビアニメ、ドラマなどの劇伴やゲームアプリ、コンサート用の音楽制作まで幅広く活動している。また自身の名義でベース教則本を2冊出版している。

Furukawa Takahiro WebSite
http://www5d.biglobe.ne.jp/~udonsky/