LEARN - Soundelux USA U195


Recording誌(US) Reviewed and Revisited


Soundelux USA U195 コンデンサーマイクロフォン


By Paul Vnuk jr.


僕は、以前、2011年2月発行のRecording誌の誌面において、Bock 195 ラージダイアフラムコンデンサーマイクのレビューを掲載しました。これはオーディオデザイナー/マイクロフォンデザイナーであるデビッドボックが立ち上げた新しいブランドBock AudioのオリジナルU195に対してのものでした。それから5年経った今、デビッドはSoundelux USAブランドの権利を取得し新型のU195をリリース。これにより改めて読者にSoundeluxマイクロフォンとU195について紹介できる機会を得たことを大変嬉しく思います。(U195-195-U195と連なるその進化に関しての詳細も紹介)

Hello again

U195は、ラージダイアフラムカーディオイドパターンのFET(ソリッドステート)マイロフォンになる。これはグローバル/ハイブリッドの製造が行われるようになった初期の一例と言うこともできる。海外で作られたマイクロフォンのカプセルはデビッドの下に送られ、それ以外の残りのコンポーネントを南カリフォルニアのBock Audio / Soundelux USAヘッドクオーターでハンドビルドされている。Neumann U87回路を踏襲した設計思想の下、デビッドが考えるオリジナル回路にあるいくつかの不備(特にフィルター回路)に改良を盛り込んだものがU195となる。

2.04” x 7.7” の本体の外観は、シンプルで高級感のあるマッドブラックフィニッシュされたブラスボデイと輝くクロームの大きなバスケットで構成されており、白地の新しいSoundelux USAロゴとモデルナンバーが正面を飾っている。オリジナルSoundeluxとBock Audioのロゴがミックスしたような新しいSoundeluxロゴは、今回のU195より再デザインされたものでSoundelux USAとBock Audioの両方ブランドが異なる価格帯の異なる製品を並行し、共存していくという今後のブランド形態を表したものになっているということを留めておきたい。

On the inside

使われているカプセルは、センターターミネイトされたデュアルダイアフラムのK67スタイルの設計。そのため後ろのダイアフラムは非動作となっている。低ノイズのクラスA FET回路は、8.5:1値のヘビーカスタムワウンドの巨大なCinemag製トランスと共に動作する。主なスペックはついては、以下:
frequency range of 10 Hz to 20 kHz, sensitivity 14 mV/Pa, equivalent noise 23 dB unweighted / 12 dB A-weighted. Signal-to-noise Ratio 71 dB unweighted / 82 dB A-weighted, maximum SPL handling of 125 dB @ 0.5% THD, 50 Ω impedance, and 115 dB dynamic range.

Normal and Fat

マイク後方の3つのくぼんだ箇所にそれぞれファンクションスイッチがあり、Pad(10dB)、Mode(Fat / Norm)、そしてLow Cut(10 dB at 20 Hz)の切り替えスイッチがある。これらの切り替えには小さなドライバーの様なツールが必要になる。

Fat / NormスイッチはU195の隠しソースと言える。Norm の設定では、基本100Hz – 1kHz間がフラット、5kHzに少しのピークと10kHzあたりに5-6dBの大きなブーストがある。このモードではモダンなFETサウンドと開放感のある高域のリフトを得ることができる。

Fat に設定すると400Hz - 10Hzにかけて低域が5、6dBブーストする。高域の特性はそのままにより低い重心とプレゼンスを加味させることができ、高域の明瞭さを失うことなくヴィンテージの暖かみを得ることができる。

In use

興味深いことに、実際に試してみると5年前に僕自身が書いたオリジナルのBock 195のレビューを彷彿させるものを感じながらも、この5年で自分の好みや感覚がどう変わったのかも知ることとなった。以前のレビューで僕はU195をこんな具合に表現をしていた、”ロマンのある脚色による自然で正直なサウンド、“ビデオテープとフィルムの違い”。ビデオテープはよりリアルだがフィルムには僕らが望んでいる感覚的なリアリティがある、と。実際、U195はアコースティック楽器、ドラム、ブラスなど殆ど全ての楽器ソースに対してとても優秀だ。それに加え今回、シンガースタイルのボーカルに対しても特に良いことに気がついた。U195のFatモードで得られる重心の低いボイスオーバーやルームマイクのサウンドも気に入っている。

オリジナルU195に対して自分が下した評価“どんな楽器にも対応できる万能性”に同意しつつも、新しいU195についてはボーカルも加えたいと思う。これが自分の趣向が変化していることに気がついた点だ。 U195は、ドラムに対してオールラウンドに素晴らしい。広い空間でのキットとシンバルを収めるドラムオーバーヘッドには、Normモードが優れている。耳障りなサウンド、噛み付く様なサウンドになることなく自然なサウンドを得ることができる。もう一つ、FatモードがGlyn Johns が提唱する4マイクセットアップととても相性が良い。(4mic Glyn Johns setupについてはこちら) Fatモードのローブーストがキックとタムに重みと太さ、シンバルに厚みのあるプレゼンスを与えてくれる。最低限のマイクセットアップによるドラムレコーディングは大抵キックとスネアから始めてそこにルーム/オーバーヘッドを足すということを考えがちになる。けれどもU195があれば、ここに逆のワークフローを見つけることができる。2つのマイクでキット全体をひとつの楽器として捉え、そこにキックとスネアのマイクを必要な分だけ足しいくというものだ。

またFatモードのU195は、キックのフロントマイクにとても良い。クラシックな感じにならずにパンチとIFETのようなFETサウンドが得られる。そのタッチはよりオープン感のあるローエンドで、使い勝手のよい異なるトーンという感じだ。

男性ボーカルでのFatモードとLow Cutの組み合わせは本心で好みだと言える。この時は、Chandler REDD.47 チューブプリアンプと RS124コンプを使った。Fatモードの特性が素晴らしい胸の共鳴と近接効果を拾いながらも、ジェントルなLow Cutがマディな低音をクリアにしてくれる。この設定は、ナレーションのボイスオーバーにもとても良い。

以前のU195は、アコースティックギターの録音比較の明白な勝者だった。12フレットとサウンドホールの間という基本セッティングを行ったとしても、U195には求めるトーンによって二つの選択がある。これはもうNorm / Fat モード、Low Cutの機能に感謝するしかない。

ひとつをNormモード、もうひとつをFatモードにした2本のU195を、他のソリッドステートマイクと並べてスタジオにU195しかコンデンサーマイクがない状況を考えながらひとつの曲を通して録音を行った。ここで発見できたことは、U195がとてもU87っぽいトップエンドを持っているいること。1本で完結できるとてもバランスの良いマイクであること。キックドラムや、アコースティックギターのボディの低音を全くもたつかせることない存在感のある低音のプレゼンスを簡単に得ることができるFatモードがとても魅力的だということ。Fatモードは、吹かれに対して破裂音を発し易いので注意が必要だが、これはしっかりとしたポップシールドを用意することで簡単に回避することができる。

オリジナルU195のレビューを修正しなければいけない点がひとつある。そこではU195をtwo mics in oneと表現したが、より正確にはひとつのマイクに2つのトーンバリエーションがあるとすべきだった。前述のBock AudioのIFETは、正確にtwo mics in oneとすることができる。これは完全の異なる音色の違う回路がひとつのユニットに収まっているからだ。

OLD VS NEW

最後に、デビッドは親切にも僕が以前のU195とアップデートされたSoundelux USAバージョンのU195の比較が正確に行えるようにBock195も一緒に送ってくれた。デビットいわく、これらのもっとも大きな違いはカプセルの低音のチューニングとFETのノイズフロアなのだという。

しかし、2つを並べて比較した場合、これらの2つのマイクが同じ意図を持って作られたものだということが分かる。新しいSoundelux USA U195の方がより甘く元気な感じが抑えられている。これは古いU195が元気のあるマイクであるという意味じゃない。後継機としてあえて違いを探した場合での話だ。

Wrap up

Soundelux USA U195の価格は、Bock U195の時に比べて少しだけ上がっている。この価格帯は ”ホームスタジオのステップアップ” カテゴリーなだけでなく、クラス上のマイクとマッチングの難しい多様性に対応する選択肢としても厳しく比較検討される。U195は、小さなスタジオでは簡単に唯一無二のメインマイクに収まるだろうし、充実したマイクコレクションに加えるにも素晴らしい価値を持ったマイクであるといえる。

The Evolution of the Soundelux U195

オリジナルの 1996年 Soundelux U195 と 2005年 Bock 195、そして今日の新しいSoundelux U195の違いを率直に設計者であるDavid Bockに聞いてみた。

The evolution of the U195 はとてもシンプルです。最初に製造したU195は10:1 値のトランスを積んでいました。(初期はReichenbach製、後期はCinemag製)2003年に同じサイズのまま、8.5:1 値のCinemag製トランスに変更しました。これはマイクに少し、見かけ上のゲインを加える為です。2006年 の終わりにSoundelux はマイクの製造を中止し、その後、 Bock Audioで、195として再発しました。この時に仕様変更はありません。Bock 195は、2014年に製造中止し、2016年に Soundelux USA U195として復刻しました。この新しいU195とそれ以前全てのU195との違いは、カプセルにあります。U195はずっと変わらずクラシックなK67 カプセルを使ってきて、それを高めにチューングしてきました。新しいカプセルでは、よりボディがあり、よりシビランスが抑えられている。これによってバーサタイルな汎用性を広げていると思います。また電気的な特徴としては、FETの電気回路を変更することなくよりローノイズな設計になっています。